昭和とは遠きにありて思ふもの

音楽と旅が好きなおっちゃんが、気ままに書いています。

♪「初恋」は「ロマンスカー」に乗せて

私の10代の頃は、フォークブーム真っ只中にあった。
その昔「テレビジョッキー」という番組があって、「白いギター」をプレゼントするほどであった。
チェリッシュの曲に「白いギター」というのもあった。
白いギター チェリッシュ



白いギターに変えたのは
何かわけでもあるのでしょうか


あの当時、白いギターは爽やかさをイメージさせたのだろう。
猫も杓子もとりあえずギターを手にしたものの、多くの人が「F」や「B♭」というコードの指使いで挫折してしまう。
6本の弦をすべて人差し指で押さえているつもりなのに、どれかの音がかすれてしまう。
私が初めてギターを買ったのは、街の質屋に置かれていたもので、確か3000円位だったと記憶している。
学生の頃、福井県出身の友達がいて、福井では冬に雷が落ちる、ということを聞いた。
瀬戸内海に面した、比較的温暖な地域に育った私にとっては、まさに寝耳に水だった。
アリス「冬の稲妻」という曲がある。
Alice - 冬の稲妻


あなたは稲妻のように
私の心を引き裂いた
蒼ざめた心ふるわせて
立ちつくす一人立ちつくす


アリスの曲の多くは、フォークギターの力強いカッティングが小気味よい。
やがて谷村新司さんと堀内孝雄さんは、フォークというカテゴリーを飛び越えて、歌謡曲の分野でもその実力を遺憾なく発揮している。
そのサウンドを支えていたのは、ドラムスの矢沢透さんだと私は思っている。
もともとは、渡辺プロに所属するドラマーで、ザ・ピーナッツ布施明さんのバックで演奏していたが、ツアー中に谷村さんと意気投合し、デビュー当時の低迷期には運送費を浮かせるために、ドラムセットをコンガに変えて演奏していたという。
また、アリスの曲の大半は矢沢さんの編曲である。
テレビ番組のインタビューなどでの、少し「ナヨッ」としたイメージとはうらはらに、非常に力強いドラミングが魅力だ。
ギター小僧にとって、憧れの腕前を持っていたのは村下孝蔵さんである。
テレビで見た「踊り子」の弾き語りには度肝を抜かれた。

踊り子


あれだけ複雑な演奏をしながら、同時に演奏につられることなく平然と歌う、ということがなぜできるんだろうと思ったものだ。


コンサートでよく披露していた
「ひとりベンチャーズ」
は絶品である。


村下孝蔵 caravan


スネアドラムの音をギターの弦で再現する、という離れ業をやってのけた。


村下さんの地元、水俣市には
「初恋通り」
と名付けられた商店街がある。


その名の由来となった大ヒット曲
「初恋」
は、村下さんの中学校時代の初恋の思い出がもとになっている。


やがて、レコードセールスが落ち込みを見せ始め、渾身の作品として発売した
「ロマンスカー」
は本人の意気込みとはうらはらにあまり売れず、時代が変わったと思ったという。


しかし、今聞き返してみても村下さんの楽曲は名作揃いである。


1999年、46才の若さでこの世を去った。


本人は「ロマンスカー」がお気に入りで、葬儀の際にもこの曲が流された。
ロマンスカ-/村下孝蔵 photo 〖土屋太鳳〗


君の好きなロマンスカーは
二人の日々を駆け抜け
夢がにじむ遠い夜空に
名もない星が流れた
君はいない

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